弁護士 宮本 督
エッセイ:to be a Rock and not to Roll
フォーミュラNIPPONとスーパーGT
11月12日から13日にかけての週末、お客様に連れられて、富士スピードウェイに行ってきた。フォーミュラNIPPON(国内最速レースだそうです)とスーパーGT(人気ナンバー1レースだそうです)の同時開催。お客様が、参戦チームのスポンサーということで、レースも、ピットの中から見学させてもらったりした。
テレビでカーレースを観たことはあったけど、生は初めて。実際に間近で見ると迫力が断然違う。目の前を排気量3000CCのマシンが、ものすごい爆音とともに走り去っていく。というか、すっ飛んでいく。フォーミュラカーって、いくらするんだろう。一台買ってみようかな。買えるわけないか。だいたい、街中じゃ乗れないだろうな。車庫入れも難しそうだし...、なんて馬鹿なことを考えていると、またまた爆音とともに数台が通過。まさに走るために生まれてきたヤツら。スプリングスティーンの"Born To Run"は、彼らのための歌ではないか。莫大な資金と技術を投じて、一切の無駄を廃し、レースのためだけに開発されたマシン。機能美を感じる。ビンビンに感じる。その辺にいるレース・クイーンの女の子達より、ずっと美しい(かも知れない)。
ピットの裏にあるチームのテントで、レースを終えたドライバーも交えて少し談笑。81年生まれのドイツ人。もう若くはない。だけど、極東の島国で頑張っている。世界は広い。いろいろな人がいて、いろいろな仕事がある。
次のレース。今度は、GTカー。ずっと直線コースを見ているのにも飽きてきて、サーキット場をいろいろ歩き回ってみる。会場内のどこにでも入れる特別パスのようなものを首からぶら下げて、うろうろ。特権階級みたいで、なんだかよく分からないけど、悪い気持ちもしないことはない。だけど、出入りに何のパスも必要ないヘアピンカーブ付近が、一番スリリングで、しばらくここで観戦することに決め込む。減速と加速。爆音。接触。スピン。爆音。コースを外れて砂煙。抜きつ抜かれつ。んで、爆音。
ヘアピンカーブを離れ再びぶらぶらしていると、さっき紹介されたレース・クイーンの女の子達に声をかけられ、一緒にチームのテントに向けて移動。最近、アタシ、ちょっとぉぉぉ、もぅ信じられない、太っちゃってぇぇぇ~。マジマジと見る。太ってはいないと思いますが...。だけど、すごい衣装だ。寒くないのかな?20歳くらいで顔が少しキレイで体が発達していると、こういう仕事があるのかと感心。世の中には、ホント、いろいろな職業がある。だけど、レース・クイーンって、一体、何のためにサーキットにいるのか。そりゃもちろん、客寄せが実際の目的なんだろうけど、建前としては、何なのだろう?表彰式のアシスタント?彼女達に訊いてみようかと思ったが、答えを期待できるはずもないと思い、言葉を飲み込む。
レース・クイーン達と歩いていると、カメラ小僧の皆様方にレンズを向けられる。カメラが、なんと言うか、とっても物々しい。望遠鏡のような長いレンズが着いていて、レーシングカーのスピードに負けないくらいの高速で連続撮影。カシャーっ、カシャーっ。アングルに入らないように気を配りながら歩く。カメラ小僧達は、ただシャッターを切るだけで、レース・クイーンに話しかけたりしない。女の子達も、立ち止まってポーズをとってあげたりしているが、無言のまま。小僧達も黙って撮影。極めて不気味。世界って、ホントに広い。本当に本当にいろいろな人がいる。
東京に帰ってきた。エンジンの爆音がしばらく耳から離れない。だが、私には私の仕事がある。生活がある。