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弁護士 宮本 督

エッセイ:
to be a Rock and not to Roll

2008.07.30

少年時代

 暑いねえ。夏本番だ。
夏休み、高くて広い空の下を、虫捕り網を持って走りまわった少年時代を思い出す。
 あの頃、世界は、ただただシンプルだった。
 この世には、法外な損害賠償請求も、ワケの分からない新株予約権も、馬鹿でどうしようもない裁判官も、手間隙かかる民事再生も、止めた方がいいんじゃないと思う買収も、クソ鬱陶しい労働組合も、なーんにもなかった。泥だらけになって帰りが遅くなると、母親に怒られたけどね。イヤなことなんて、それくらいのものだった。毎日毎日、ホントに楽しかった。
 そしてもちろん、そーゆー日々が、二度と帰ってこないなんて、ぜーんぜん知らなかった。そういえば、あの空き地にあったボクらだけの秘密基地は、今、どうなってるんだろう?
 しかし、暑いね。
 ただ、少年時代といって思い出すのは、いつも夏なんだよね。私だけ?でも、井上陽水の「少年時代」だって8月だよね。
 春だって秋だって冬だって、ちゃーんと生きていたはずなんだけど、少年時代といわれて思い出すのは、みんな真夏の風景で、ぜんぶギラギラの太陽の下だ。
 まあ思い出してみても、なーんにも始まらないけどね。
 それにしても、ホント暑いねえ。