弁護士 宮本 督
エッセイ:to be a Rock and not to Roll
仕事と休暇と
弁護士って、いつが忙しいのか、暇な時期はあるのかって、ときどき聞かれるんですが、別に、毎年決まって忙しい時期とか、暇な時期とかありません。瞬間最大風速的に、とてつもなく忙しくなることがあって、それ以外の時期は、いつもダラダラとなんとなく忙しいという感じです。一応、自営業なわけですから、自分の都合で繁閑とか調整できるという建前なのかも知れませんが、そんな自由気ままなことができるはずもなく、この仕事を選んだ以上、事件に振り回されて生きていくしかありません。
実は、先日、4日間だけ、お休みを頂戴していました。これは昨年中に決めたことです。それで、ちょこっと骨休めに旅行してきたわけですが、でも、この期間中に、しっかりとイレギュラーな事件は発生してくれました。今回は、私のお客様の会社に対して、「仮処分」という手続の申立がされて、これって文藝春秋誌の発行差止とか、ニッポン放送の新株予約権発行差止とかで有名になった、あの手続のことで、しかも、申し立てがされるなんてまったく想定していなかったもので、とてつもなく電光石火な対応を求められました。それなのに、私、この間、事務所にいなかったわけです。今回は、まあ、相手方がした申立自体が本当にメチャクチャで、お陰様で大事には至らなかったのですが、それでも、休暇中のホテルで、Eメールとファクシミリと携帯電話で、いろいろと対応です。もちろん、事務所の他の弁護士やスタッフがいてくれるからこそできる芸当なわけですが。
せっかくの休みなのに仕事なんて、と思われる方もいるかと存じます。でも、それは、もう仕方ないので、逆に、休暇中でも旅行先でも仕事をするという前提で休みをとっていますし、旅行にも出かけています。多くの弁護士さんがそうしているのではないかと思いますが、そうしないと、何か安心して休みもとれなくって、私を含め、弁護士さんって、実際、しっかりと仕事人間なわけです。