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弁護士 宮本 督

エッセイ:
to be a Rock and not to Roll

2004.09.29

クルマ考

 村上春樹氏には「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」っていう小説があって、これは、村上龍氏にとっての「コインロッカー・ベイビーズ」で、つまりは、二度と越えられることのないハイジャンプのバーみたいな作品で、要するに、最高傑作な訳ですが、この中で、主人公が、買い物のついでに、クルマを、って乗用自動車のことですけど、購入することになって、カタログとかイロイロ見せられたのに対し、カーステレオもツインターボエンジンも、そんな余計なものは要らない、純粋に買い物用のクルマが欲しいだけだというのに対し、セールスマンが、クルマというのは、本来こういうもので、みんな頭がどうかしているんだ、というシーンが出てきて、私もそう思うもので、といいますか、そもそも、私、クルマ、持ってませんで、欲しいとも思わないんでして、私は、東京のベッドタウン千葉県船橋市の出身ですが、実家には、クルマ、ありまして、それで、大学に入れてもらえなくて、1年間、代々木ゼミナールに通っていたことがあって、運転免許証をとったのは、その頃だったと思いますが、それで、浪人生や大学生の頃は、クルマ、運転してましたけど、そうはいっても、女の子とドライブとか、そーゆー記憶はあんまりなく、もちろん、クルマをイロイロいじったりとか、そんなことにはまったく興味もなく、私にとってのクルマは、もっぱら移動の一手段というか単なる実用品に過ぎなかったことはいうまでもなく、その後、司法試験に合格して、司法修習生となった25歳から27歳のころ、私、札幌の郊外に住んでいまして、それで、クルマ、持ってましたが、そのクルマって、一緒に札幌で司法修習をしていた友人から2万円で譲り受けたもので、夕暮れのスキー場でエンストして、そのままウンともスンともいわなくなったり、それはそれは大変な思いをしたものでしたが、札幌を引き上げて弁護士になった私は、東京の文京区の本郷というところに住まいを構えることになり、クルマを手放すことになって、あ、そういえば、本郷って、大学生の頃はまったく通うことがなかったんですが、結構、いい街でしたって、そんなことはどうでもいいんですが、本郷には、3年くらい住んだんでしたっけ、その後、中央区の佃というところに引っ越して、今に至るわけですが、ここは、東京駅からタクシーでワンメーターとかで行っちゃいますし、事務所のある銀座にもチャリンコで10分くらいなもので、もちろん、クルマ、持っていませんし、欲しいとも思いませんし、購入する予定もありません、といいますのも、別に、月に5万円くらいかかる駐車場代がもったいないとか(もちろん、もったいないとは思いますが)、排気ガスがエコロジーに反するとか(そりゃ、反するとは思いますが)、そんなことじゃありませんで、私、クルマなんて、いらないということに尽きるんで、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」(って長いタイトルだな)の主人公には、買い物用のクルマが必要でしたが、私、別に、買い物には徒歩かチャリンコで充分ですし、ドライブなんてアホらしいことするはずがありませんし、大体、毎晩のように酔いどれオジサンになって帰宅してるわけで、クルマでお出かけなんてしてたら、かなりの確率で、大変なことが待ってるわけでして、確かに、私の住環境が恵まれていることは認めますし、どうしても、生活する上で、クルマが必要な方も多いだろうとは思いますが、って、現に私も、地方在住の頃は、クルマ、持っていたわけですから、それはよくわかるわけですが、でも、そうであっても、馬鹿でかいエンジンとか、馬鹿高いタイヤとか、馬鹿ミーハーな車体や、馬鹿っぽい内装は、どこをとっても不要に思われて、こんな長い一文を最後まで読み切られた方には申し訳ありませんが、やっぱり、みんな頭がどうかしてるんだろうと思われてならないわけです。