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企業と法律

企業倒産

企業のための民事再生の法律相談

弁護士 宮本 督

9. 再生計画と履行の確保

(6) 破産手続への移行

 再生手続を進行させられなくなったり、反対に支払不能状態から脱却できて再生手続の必要がなくなったときに再生手続が廃止されます。
 再生計画認可決定確定の前に再生手続が廃止されるのは、〔1〕決議に付するに足りる計画案の作成の見込みがないことが明らかになったとき、〔2〕裁判所の定めた期間内に再生計画案の提出がないか、提出があっても決議に付するに足りないものであるとき、〔3〕再生計画案が否決されたとき、〔4〕債務完済可能の場合、〔5〕再生債務者の義務違反の場合が考えられます。このうち、〔1〕は、再生計画案の内容が法律に違反しておらず、遂行の見込みがあり、再生債権者の一般の利益に反しないもの(170条、174条)という要件を満たさない場合です。
 この〔1〕、〔2〕及び〔3〕の場合、裁判所は必要的に再生手続廃止の決定をしなければなりません(191条)。これは再生手続を進行させても、裁判所及び再生債権者その他関係者に無駄を強いることになること、また事業の再生ができると関係者に誤信させることはさらなる損害を与えるおそれがあること、さらに再生債務者の財産の不当な減少を招く可能性があることから、そのような場合には手続を打ち切るべきだからです。
 再生手続の廃止によって再生手続は打ち切られ、廃止時以後、再生手続が進められることはなくなり、監督命令及び管理命令はその効力を失います(195条7項、188条4項)。
 そして、この再生手続の廃止がされた場合、裁判所は、その再生債務者に破産の原因たる事実があると認めるときは、職権で破産宣告をすることができるとさています(16条1項。民事再生法は、かつての和議法のように、再生手続廃止・再生計画不認可・再生計画取消しがなされた場合に、常に破産手続に移行するとの立場をとってはいません。)。