企業と法律
ゴルフ情報の法律問題
ゴルフ場問題Q&A
(「ゴルフ会員権法律相談」ゴルフワールド)
弁護士 宮本 督
Q4 会員権譲渡の対抗「要件」
ゴルフ会員権を購入したのですが、証書を受け取って名義書換を済ませても、それだけでは会員権を確保できず、売主が破産したり、第三者に二重に売ったりすると、会員権は第三者のものになってしまうと聞きました。会員権を確保するにはどうしたらよいのでしょうか。
A
権利を取得したことを第三者に主張するには、法律で定められた要件を備える必要があり、これを「対抗要件」と呼んでいます。対抗要件を備えていないと、権利の取得を第三者には主張できず、もとの権利者から二重に権利を譲り受けた第三者が先に対抗要件を備えてしまえば、その第三者が権利を取得することになります。そして、預託金制のゴルフ会員権については、確定日付のある証書による譲渡通知または譲渡承諾が対抗要件になります。内容証明郵便に郵便局が記入する日付が「確定日付」にあたるので、内容証明郵便による譲渡通知によって対抗要件とするのが通例です。
なお、この譲渡通知は、譲渡人からゴルフ場会社に対して譲渡の内容(譲渡の対象となる会員権や、譲受人の住所氏名など)を通知するものでなければならず、譲受人から通知しても対抗要件としては認められません。ただ、実際の取引では、名義書換書類と一緒に、内容証明郵便の書式による名義人作成の譲渡通知書を受け取り、会員権取得者の方で郵便局から発送するというのが通常です。