企業と法律
ゴルフ情報の法律問題
ゴルフ場問題Q&A
(「ゴルフ会員権法律相談」ゴルフワールド)
弁護士 宮本 督
Q2 据置期間延長決議の効力
先日、ゴルフ場から、据置期間が満了するが預託金の返還が出来ないとの詫びの手紙がきました。ゴルフ場によれば、据置期間を会則に従い延長することとしたので、同意書に署名して返送して欲しいということです。どうすればよいでしょうか。
A
既に社会問題化している預託金の償還問題ですが、ゴルフクラブ理事会やゴルフ場経営会社の取締役会による預託金の据置期間延長決議は、たとえ会則に従ってされたものであっても、この決議に同意しない会員との間では効力がない(延長無効)というのが判例・学説の基本的な考え方で、最高裁判所もこの立場に立ちます。ただし、会員の過半数が延長に同意しているような場合についてではありますが、この立場に反する裁判例が、一昨年から昨年にかけて東京地方裁判所で五つ出され(延長有効判決といわれます)、また、これを有効と説く専門家もいて、議論が混乱していたところです。
しかしながら、その後、延長有効判決はことごとく東京高等裁判所で逆転され、据置期間延長の措置は、たとえ大多数の会員が同意している場合でも、同意していない会員に対しては効力がないという考え方が実務上も完全に定着してきました。
ゴルフ場の預託金償還問題は、今年がピークといわれています。預託金の返還を望むのであれば、ゴルフ場から送られてくる同意書には署名せず、一刻も早くゴルフ場に対し預託金の返還を請求するべきでしょう。