弁護士 宮本 督
エッセイ:to be a Rock and not to Roll
この程度の国民にはこの程度のマスコミ
昨夜、仕事を早めに切り上げて、飲み屋にも行かず、自宅リビングのソファーで寝転がって本を読んでいたら、10時頃、ヘリコプターの音に気付いた。窓から外を見ると、その数、6機。一瞬、なんのことかと思ったが、テレビをつけると、ライブドアの堀江元社長が保釈されたとかで、六本木ヒルズに向かう車を空から中継中。ヘリコプターたちは、確かに、そのまま六本木方面に向かった。
テレビをそのままにしていたら、相変わらず、アホウなコメントの天こ盛りで、まあ、本当にどうしようもないというか、どうでもいいというか、ライブドア事件については、既にいろいろな人が、いろいろなことを言ってるから、特にコメントはないけど、世論というか、群集心理というか、なんとかならないものかねえと思う。だってさ、テレビの連中って、ホリエモンがしたことが、どうして規制されているのかすら、ちゃんと説明できないんだもん。...って、まあいいや。
ライブドア事件もそうだったけど、弁護士をしていると、最近、痛切に感じることがある。それは、警察や検察の肥大化。お巡りさんが「民事不介入」とか言い訳して役に立たないという批判を受けてか、最近の警察は、バンバン、民事に介入してくる。しかも、ムリクリ介入してくる。んで、お巡りさんの権限は絶大で、なんつったって、逮捕とか、勾留とかできちゃうわけで、しかもそれなりの社会的地位の人にとっては、逮捕されるなんて人生最大の汚点になるから、お巡りさんとか検察官とかの低レベルな法律解釈によって、民事事件がねじ曲がって解決されることになる。だって、示談しないと、逮捕されちゃうからね。
マンションの耐震強度偽装事件では、建築士が、建築士名義貸しの建築士法違反、建設会社の役員は粉飾決算で建設業法違反、検査機関の社長は架空増資で公正証書原本不実記載で逮捕された。でも、こんなんで、ほんとーにいいのかい? そう言えば、オウム真理教のときも、ハサミを持っていたから銃刀法違反とか、ホテルに別名で宿泊したから私文書偽造とか、それはそれはメチャクチャだった。あの時も、メディアの批判はなかったけど、今回も、私の見聞きする限り(って、テレビはあんまり見ないけど。)、捜査機関に対する批判はない。例えば、ライブドア事件は、エスタブリッシュメント達の新興の金持ちに対するバッシングという論調は、海外のメディアにあるだけで、この国じゃ、そんなこと思っても、口にするのもはばかられる雰囲気だしね。
みんなこのままでいいのかい?
公務員って、特に、お巡りさんとかって、自分のこと正義の味方だと思っていて、バランス感覚とか皆無なもので、せめてマスコミくらいが何か言わないと、ほんと、どこまでも突っ走って行ってしまうから、ファッショな感じの暗い国になっちゃうよ。もうなってるけどね。
ほんと、マスコミのレベルって、どうにかならないものかねえと思うけど、馬鹿なのは、マスコミだけじゃないから、もう、どーしようもないのかもね。