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ゴルフ場問題Q&A
(「ゴルフ会員権法律相談」ゴルフワールド)

弁護士 宮本 督

Q5 預託金返還請求と担保権者

ゴルフ場を退会し預託金の返還を請求したいのですが、会員権購入時の提携ローンの支払いが終わっていません。何か問題はありませんか。

A

 ゴルフ会員権を購入する際、提携ローンを組むと、ゴルフ会員権について譲渡担保設定契約が結ばれるのが通例です。金融機関は、購入者がローンの支払いを怠ると、その会員権を市場で売却して売却代金を返済に充てることになります。そして、このような契約を結んでいる以上、会員は、譲渡担保権者の同意がない限り、譲渡担保権の内容に変更を及ぼすおそれのある処分行為等をすることはできません(東京地裁平成八年一一月二九日判決)。そして、会員契約の解除を前提とする預託金の返還請求は、譲渡担保の目的である権利を消滅させるものですから、当然、譲渡担保権者の同意が必要で、これがない限り預託金の返還を請求することはできません。そこで、金融機関から、預託金の返還を受けた場合には借入金の返済に充てること等を条件に同意書をもらう必要があります。
 なお、提携ローンの場合、この譲渡担保設定契約は、ゴルフ場との間で結ばれることもあります。つまり、ゴルフ場が金融機関に対する会員の借入を連帯保証して、ゴルフ場がこの保証の責任を果たしたときの会員に対する求償権の担保として会員権に担保の設定を受ける場合です。
 この場合には、ゴルフ場が預託金の返還を拒む理由として、譲渡担保権者である自らの同意がないことを持ち出すことになりますが、それでもこの拒絶を認めるのが判例の立場です。